【漫画感想】「悪魔さんとお歌」感想(ネタバレ)

book report

こんにちは、私です。

さぁ、今回のテーマはこちら。

「悪魔さんとお歌」のお話をさせていただきます。

いやぁ、私、どうも悪魔や鬼、幽霊なんかを題材にしたお話。

大好きなんですよねー。

七つの大罪でも、天使族より悪魔族の方がキャラクター的に好きだったり、参りました入間くん。

ディグレことD.Gray-manだったりチェンソーマンだったり。

もう最高にキャラクターデザインだったり、ストーリーだったり設定だったりで色々個人的にタギるんですよ!!

そんなこんなで、今回はそんな大好きな悪魔関連の漫画を1作品紹介したいと思います。

ボリュームはサクっと読める長さなのに、ものっそ泣かせてくるんですよ。これが!

そして、世界観もイラストもキャラクターも、もぅ惹きつけてくれます。

っというかね。

「あぁ、悪魔さん格好いい!悪魔さんスキー!!」

ってなるよね。

「ただのお前の好みじゃねぇか!」

っという感想については、

「あぁそうさ、悪いかい?」

と素直にお答えしておきます。はい。

それでは行きましょう。

作品基本情報

作品名悪魔さんとお歌
著者森下 真
出版社ガンガンコミックスpixiv
巻数全2巻

YouTube解説

あらすじ

こちらは、中世ヨーロッパ風の国のお話。

世の中には、普通に悪魔がいて、

その悪魔を倒すものとして、天使の加護を受けた幼年聖歌隊がいる。

その幼年聖歌隊を管理している組織として教会がある。

そういう世界観なんですね。

幼年…っと言っている通り、聖歌隊のメンバとしては、子供です。

身も魂も清らかな子供が、完璧な歌声で聖歌を歌うことによって、悪魔たちを殺しているんですね。

逆に悪魔は人間を食べたり殺したりする存在なんですよ。

その中でも特に聖歌隊の子供は、魔力が高いってことで積極的に悪魔は子供を殺しにくる…っというか、食べにくるんです。

また、悪魔は死んだ後、身体は灰になって消えていくんですが、ツノだけは残るんですね。

そして、そのツノは、人間の世界では非常に高く売れるんです。

そんなこんなで人間側も悪魔を狩って、一攫千金を狙っているですよね。

やってやられて。

やられてやって。

そんな感じの、可愛らしい絵柄とは裏腹に、設定としては結構ダークな世界です。

そんな中、もはや誰も利用していない、人里離れた森の中の廃教会に、金髪で、赤目の、綺麗な男の子が鎖で繋がれた状態にさせられました。

その男の子は、聖歌隊の男の子だったんですが、残念ながら歌が「へたっぴ」でした。

なので、悪魔のツノで一攫千金を狙った人間に、悪魔の餌として使われたんですね。

男たちの狙い通り、一匹の悪魔がやってきました。

ただ、男たちが誤算だったのは、やってきた悪魔があまりにも強い悪魔だったということです。

その悪魔は、50年間も人間を殺し続けた、とても強い「骸の悪魔」でした。

結果、一攫千金を狙った男たちは、無惨にも殺されてしまいました。

残ったのは、歌が「へたっぴ」な男の子だけ。

骸の悪魔は、餌にされた、その男の子の状況を憐んで言いました。

「情けだ。

喰う前に、最後の願いくらい聞いてやってもいいぞ?」

その言葉を聞いた男の子は言いました。

「ぼくのお歌を聞いてください!!!」

それから毎日、骸の悪魔は「へたっぴ」な男の子の歌を聞くため通い始めました。

へたっぴな聖歌は、悪魔にとっても殺傷能力がありません。

骸の悪魔は、歌を聞いても死にません。

骸の悪魔は、歌が上手でした。

しまいには、へたっぴな歌に呆れて、いくら歌っても「へたっぴ」な男の子に歌いかたを教え始めました。

歌の「先生」になったのです。

「このポンコツ!

なんべん言やぁクレシェンドと、デクレシェンドの区別がつくんだ!

明日もう一回テストだ!

いいな!?」

そう言いつつ、歌の練習に付き合ってくれる骸の悪魔。

「なぁぁぁあんでこんなに付き合わされてるんだ。

絶対今日は殺す。

絶対殺す」

骸の悪魔は、いつもそう心に誓いながら、廃教会に毎日毎日通いました。

ただ、情が湧いたのか、骸の悪魔が世話好きだったのか。

どうしても「へたっぴ」な男の子のことを、殺す気にはなれませんでした。

それだけでなく、「へたっぴ」な男の子の世話をしだしました。

食べ物を持ってきて、食べさせたり。

子供用のバスタブを持ってきてお風呂に入れたり。

病気になったら、人間の医者のところに連れて行ったり。

歌の稽古をつけたり。

「へたっぴ」な男の子のことを、「へたっぴ」と呼んで、それはそれは大事にお世話をしました。

「へたっぴ」自身も、骸の悪魔のことを「悪魔さん」と呼んで、とても懐きました。

なぜなのか。

なぜ、悪魔なんぞに懐いたのか。

それは、「へたっぴ」の今までの人生経験からでございました。

「へたっぴ」は聖歌隊にも関わらず、歌を歌うのが下手でした。

ただ、歌が好きな「へたっぴ」は一生懸命歌ってうたって努力していました。

そのため、同じ聖歌隊の子供たちから、ひどく馬鹿にされ、笑われました。

先生からも、結果を見て「努力していない」と判断され、冷たい態度を取られました。

ムチで叩かれました。

食事を与えられないこともありました。

それなのに、骸の悪魔は言ったのです。

「てめーは努力家だからな」

「頑張ったんじゃねぇの?」

その言葉は「へたっぴ」を勇気づけ、とっても幸せにしたのでした。

そんなこんなで、そんな生活が1年間続きました。

そう、1年間続いたのです。

骸の悪魔はその間、人間を誰も食べていませんでした。

そのため、身体は少しずつ崩れ、頭痛がし、ぼーっとすることも多くなってきていました。

確実に衰弱している状態でした。

「へたっぴ」は、骸の悪魔のことが大大大好きでした。

なので、そんな状態の骸の悪魔の姿を見て、心に決めたのです。

「あくまさんが、かえってきたら言いましょう。

『ぼくをたべて』って」

もうおしゃべりはできなくなっちゃうけど、おなかのなかで、永遠に一緒です。

そう考えていたその時、廃教会に、教会の人たちがバタバタとやってきたのです。

「ぼうや、悪魔はどこにいるのかな?

おうちに帰りたいよね?」

「へたっぴ」はその人たちの、目をみれば分かりました。

『この人たちは、悪魔さんを殺しにきた』

「こんな役立たずのガキがどうやって殺されずに生きてたんだか!」

「まさか悪魔と契約でもしてるんじゃないだろうな」

「ったく汚ぇな、このクソ廃墟」

今まで仲良く骸の悪魔とともに掃除した廃教会。

楽しかった日々。

それを貶された「へたっぴ」はひどい怒りにかられました。

『死ね!

そう喉の奥から汚い声で叫びたい。

でも、悪魔さんが帰ってきたら、あぶない。

大嫌いな人たち。

大嫌いな教会。

死んでも戻りたくない。

ぼくが “神様” から悪魔さんを守らなきゃ』

そう思った「へたっぴ」は必死に、乱入者達に言いました。

この廃教会から、早く離れさせるために。

「助けて! 今すぐ連れて帰ってください。

怖い悪魔が帰ってくる!

はやく!!

ぼくはもう、ここに痛くない!!」

そう叫んだとき、骸の悪魔がやってきてしまったのです。

早々に、乱入者達の一人を殺して食べだしました。

そして、言ったのです。

「不味イ

コドモ、コドモはエサ

言ッテタ

誰?

誰!?

ハラが減った!!!!」

骸の悪魔は乱入者たちに襲いかかりました。

ただ、骸の悪魔も身体が崩壊し始めていました。

乱入者たちも、反撃しだします。

「逃げて!!!悪魔さん!!!!」

「へたっぴ」の叫びもむなしく、乱入者たちの猛攻撃によって骸の悪魔は倒されてしまいました。

「やった!! 骸の悪魔を殺したぞ!!」

そう言いながら、大きな身体を解体しようと乱入者達が骸の悪魔に群がります。

それを見た「へたっぴ」はあわてて、乱入者たちに噛みついて、必死の思いで止めようとしました。

ただ、「へたっぴ」は小さな子供。

大人たちにはまったく叶いません。

「このガキどうすんだ?」

「悪魔に心を奪われた子供なんて連れて帰るわけないだろう。

他の悪魔のエサにしよう」

「悪く思うな。

君がいくら恨もうが、我々の幸福の為だ」

そんな勝手な話を続ける乱入者をよそ眼に、「へたっぴ」は気付きます。

骸の悪魔に、まだ息があることを。

それに気付いた「へたっぴ」は、骸の悪魔に向けて言いました。

「たべてください」

それを聞いた骸の悪魔は、最後の力をふり絞って、「へたっぴ」を抱えて空へ飛んで逃げました。

廃教会を抜け出して、空からみる月夜に照らされた森。

その風景を見て、骸の悪魔の旨のなかで、「へたっぴ」は言いました。

「わぁ…、たかい!

いっしょにあくまになったみたいです!」

そんな、夢のような状況で、骸の悪魔は「へたっぴ」に言いました。

「へたっぴ、頼みがある。

歌ってくれねぇか?

もう…あんましな……

音が聞こえなくなってきてんだ…

頼むわ、へたっぴ…

俺様が、「先生」でいられるうちに……

おめぇのお歌が聴きてぇなぁ」

「へたっぴ」は、実はこれまで、骸の悪魔に内緒にしていたことがありました。

この1年、一生懸命、骸の悪魔が「へたっぴ」に歌の稽古をしていたおかげで、ずいぶん前に上手に歌えるようになっていました。

でも、離れたくなくて。

ずっと、この関係を続けたくて。

歌が「へたっぴ」なふりをしていました。

でも、今、ボロボロな骸の悪魔をみて、解放してあげないと。

そう、強く思いました。

「あんまりお上手すぎて、びっくりしちゃうかもしれませんよ?」

「そりゃぁいい、先生冥利に尽きるってもんだ。

あ、待った。

その前に、お前の本当の名前、教えてくれや」

今まで骸の悪魔は、エサの名前になんて興味ないと言って「へたっぴ」の名前を知ろうとしませんでした。

「へたっぴ」は言いました。

「フィーネです」

「終わり(フィーネ)のお歌か。

最高じゃねぇの。」

そうして、フィーネは歌いました。

今までで一番上手に歌えました。

骸の悪魔も、ただじっと聞いていました。

しずかに

しずかに

しずかに

そして、はじめてフィーネは、だれにもさえぎられずに歌い終えることができました。

歌い終えたフィーネは、

瞳を涙でいっぱいにして、

両手に悪魔のツノを抱えながら、つぶやきました。

「ずるいですよ、あくまさん。

じょうずだって、ほめてくださいよ」

そうして、月夜の森に落ちていきました。

さてはて、少しお話は変わりまして、この世界は神によって創られた世界でございます。

普段は幼年聖歌隊と言われる、魔力の多い無垢なる少年少女のことを、教会では「天使」と呼んでいました。

人間から、たまたま祝福を受けて生まれた子供が「天使」となるのでした。

そして、その「天使」が世を呪いながら死ぬと「悪魔」に変貌するのでした。

「悪魔」は「人間達」を恨み、殺しました。

「天使」は「人間達」を守るために、「悪魔」を殺しました。

教会は「天使」たちを、囲い、育て、無垢でなくなった少年少女たちを、幾度も悪魔のエサにして殺し、さらなる「悪魔」を生み出しました。

この不毛に廻り続ける「悲劇」を乱すことなく守る行為が、教会の使命でした。

この世界は、神によって創られた世界。

そう、神にとって、娯楽でしかない世界となります。

神がこの世界に飽きた時こそ、本当の悲劇となってしまう。

教会はそう、結論付けていました。

そのため、教会は、神がこの世界に飽きないように、信念をもって「悪魔」を生み続け、「天使」と「悪魔」を戦わせ続けていました。

教会では、この悲劇のループを続けることを「教会の教え」と見なしていました。

はてはて、ここからは、悪魔になれなかった悪魔のお話をしていきましょう。

結論、フィーネは、骸の悪魔の弟分たちと、以前病気の時に世話になった変わり者の医者のばあさんに助けられ、生きていました。

そうして13年間。

そうした人たちに色々なことを教わって。大きな大人に成長しました。

大人になったフィーネと骸の悪魔の弟分たちは、捨てられる天使たちの保護と回収に奔走していました。

捨てられた天使たちの保護、回収をし、教会や悪魔を狩ろうとする人間たちを殺してまわっていました。

そうしていつしか、フィーネは「金色の悪魔」と呼ばれるようになりました。

ただ、いくらそうして活動していたとしても、相も変わらず教会は天使達を捨てることをやめません。

天使たちにあうも、ほとんどが亡骸ばかりです。

そんな生活に、フィーネは決心しました。

「街、壊しちゃわない?

原因そのものを壊しちゃおうよ。

あの十字架のてっぺん。

捨てさせる人がいなくなれば、子供たちはもう捨てられないでしょう?

僕は明日『魔王』になります」

そうして、大量の悪魔と一人の青年が、

街を、

教会を、

壊しにいきました。

教会のメンバも、人間と悪魔のタッグで攻められたのは初めてで、総崩れとなりました。

そうして最後にフィーネは、教会の最高権力者である大司教の前にたどり着きました。

そして、その大司教はかつて、フィーネが教会にいたころの「先生」でした。

「あぁ、この心音、心拍、覚えておるぞ。

フィーネか。

そうか、おぬしらの目的は、この国を滅ぼすことではないな。

わし個人への復讐か。

ならば果たすといい。わし一人死んだところで、神にはなんの影響もない

”教え”は必ず受け継がれる」

「殺す前に、教えてください。

悪魔の正体を知っていて、どうして捨てたんですか?」

「ふむ、返答が難しいな。

その問い方は、間違ったことをした者への質疑じゃぞ?」

「もういいです。

貴方を殺す役割が僕でよかった。

悪魔みんなにきかせなくてよかった。

死んでください。大嫌いな『先生』」

そうして、悪魔たちは教会だけを襲い、壊し、大司教が殺されたと同時に帰っていきました。

「終わったよ、悪魔さん」

そうして力が抜けたその瞬間。

フィーネの胸に矢が刺さりました。

「あ、悪魔めッ」

それは、生きながらえた、残存兵から放たれた矢でした。

「俺は怒ってるぞ、へたっぴ」

背中から、懐かしく愛おしい声が聞こえてきました。

「僕だって怒っていますよ。

あくまさん、僕に言うべきことあったんじゃないですか?」

「チっ、ずいぶんと生意気な口きくようになりやがって!!

お歌、上手だったぜ。

馬鹿野郎。こっちに来るのが早いだろ」

「あくまさん、僕のお歌、また聞いてくれますか?

今度はずっと、いられるように」

そうして、あの世にいったフィーネは、大好きな「先生」にまた会うことができて、このお話は幕をおろすのでした。

感想

私なんかは、人間のやさしさと醜さ。

そして、なにが悪魔なのか。

正しさとは。教えとは果たして何なのか。

そんなことを考えさせてくれるお話でした。

あと、今回私からお話した内容は、完全に本筋のシリアスな内容だけにフォーカスしてお話してきました。

ですが、本当はこのお話、結構、悪魔さんとへたっぴの、ほんわか話も多いんですよね。

というか、寧ろ、そっちがメインですよね。ハハッ!!

なので、私のこのしんみりしたお話をきいた後に、漫画版を是非読んで、逆に彼らに癒されて頂ければな~…なんて思います。

それでは、ほなまた〜ノシ

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